大切な道具
久しぶりのブログ投稿です💦
今回は鋏。
といっても鋏の研ぎ師さんのお話です。
鋏を購入したメーカーに出すこともありますが、今はほとんど札幌市内に15人くらいいらっしゃる、と言われている(定かではありません。以前お願いしていた研ぎ師さんの話です。)地元の研ぎ師さんにお願いしています。
私のキャリアの中で出会った研ぎ師さんはその中の6人。
ちょっと癖のある方ばかり。でも、腕は確かな職人さん。
皆さんそれぞれにこだわりがあって、とても勉強になる事が多いです。
中でも今お願いしている方は、この道何十年なんだろう?鋼のハサミの時代から研ぎ師一本。超ベテランのおじいちゃん研ぎ師のKさん。
鋏の種類により切れ味のオーダーを出す、私の我儘をなんでも聞いてくれる稀有な存在。本当にありがたい職人さんです。
先日も1丁お蔵入りしていた鋏を思いだして、研ぎをお願いしました。
以前、違う研ぎ師さんに刃が薄くなったので刃先を落としてもらったその鋏。
刃先を落としてから違う鋏になってしまった感覚があって、ずっと使えずにいました。
「この方ならひょっとして、使えるようにしてくれるのでは?」と思い、
引っ張り出してきました。
鋏を手にした瞬間、「あー」とため息。
それから、どこがダメなのかをしっかりと説明してくださいました。
「長く使っているハサミはどうしても刃先が鋭利になっていく。だから落とすのは必然。しかし、“落とす”、と言うことは本来のバランスを“崩す”。」
「だから研ぎ師は全身全霊をかけて鋏に向かわなければ、大切な鋏の命を奪う。」
「ハサミは研げる刃がある限り使えるものだ。けれども、時としてその命を奪うこともある。
それがあなた方切り手かもしれないし、俺たち研ぎ屋かもしれない。」
「お互いプロなんだから、そんな事をしてはいけない。本当はそんなのプロじゃない。」
そして、「大丈夫。任せなさい。」
と、心強い一言。
1日預けて帰ってきた鋏。
手にした瞬間、「これは行ける。」私の右手が、薬指が、親指がそう感じました。
ウイッグで試し切り。ファーストタッチからして全然別物。
久しぶりに心躍る瞬間でした。
本当はこの記事、11月3日に更新する予定でした💦
なんやかやで11月も終盤。
どうして11月3日って?
その日は文化の日。
著名な方々が文化勲章を授与される日。
私にとっての文化勲章は断然研ぎ師のKさん。
いつまでもお元気で、私たち美容師、理容師の鋏を守ってくださいね!
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